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野球のバッティング能力に欠かせないスポーツビジョンの鍛え方

スポーツ

 

野球のバッティング能力を向上させるためにはスポーツビジョンを鍛えることが重要です。

まずは投手の投げ込んでくる速球を、しっかり目で捉えることが出来なくては何も始まりません。

 

しかし、このスポーツビジョンを鍛えるには、身体の他の部分と違って、普通のトレーニングではなかなか向上しません。

スポーツビジョンはどのように鍛えれば良いのか、その方法について解説します。

 

スポーツビジョンの能力が低くてバットにボールが当たらない人

野球の打率を上げるならスポーツビジョンを鍛えるのが早道

バッティングにおいて投手の投げたボールをジャストミートして撃ち返そうと思えば、まずはボールを正確に目で捉えて、そのボールの未来位置(ヒッティングポイント)に向けてバットを振り出さないと行けません。

いくらスイングが理想的な形をしていて、タイミングが合っていようと、ボールをしっかり目で捉えて、正確なボールの軌道を見極めていなければ、ボールをバットの芯で捉えることが出来ないということは分かると思います。

仮に、多少ひ弱なスイングでも、ボールをしっかり目で捉えてバットの芯にあてることが出来れば、内野手の頭を越えることは可能ですし、当然打率も上がります。

 

スポーツビジョンの要素とそれぞれの鍛え方

スポーツビジョンには8つの要素があります。

1.静止視力

2.動体視力

KVA動体視力(縦方向動体視力)

DVA動体視力(横方向動体視力)

3.周辺視野

5.コントラスト感度

6.深視力、立体視力

7.瞬間視力

8.目と手の協応動作

 

野球の打率を上げるスポーツビジョンとは

 

野球のバッティングにおいては何れも重要な要素で、打率を上げるためには欠かせない要素です。

それぞれの要素を鍛える方法について解説します。

 

視力の悪い人

1.静止視力

基本的な視力です。

まずは目がしっかり見えていなければ、先へは進めません

 

とはいうものの、様々な視力回復法があちこちで提案されていますが、ここで視力自体の話をしていると長くなりますのでポイントだけ解説すると、まずは正確な両目の視力を検眼することをオススメします。

 

目に、近視や乱視がないか、左右の視力に差が無いか正確に把握することが大切です。

そして視力に問題があるのであれば、目に合ったメガネを使う事

 

ある選手の話です。

バッティングでも全然バットにボールが当たらない、守備でも度々平凡なボールを後ろにそらす。

単に下手くそなのかと思われていたのが、監督の一言

「おい、そのメガネは合ってるのか」

で、調べて見たら視力が悪化していてメガネが全然合ってなかった、というような話もあります。

 

まずは静止視力に問題があるなら、目に合ったメガネを作り直すところから始まります。

 

また、ブルーベリーやルテインなどのサプリメント

長期的に効果があるのかは分かりませんが、私の経験では2、3日前から摂取すると少なくとも視力検査で0.1~0.2くらい視力が上がる効果はあります。

 

レーシックなどの手術はまだ確立されたものではなく、将来、視力が悪化したり特定の職業に就けないなどのリスクもありますから、よほど日常生活に支障があるような場合を除いてオススメしません。

また、静止視力についてはこの後解説する、各種の視力を鍛える過程で、静止視力が向上する可能性もあります。

 

投手がバッターに向かって投げたボール

2.動体視力

動体視力にもKVA動体視力とDVA動体視力の2種類があります。

KVA動体視力(縦方向動体視力)

前後方向の動体視力です。

投手がボールを投げた直後のボールは上下や横方向の動きは少なく、打者に近づいてくるボールの動きを把握します。

 

DVA動体視力(横方向動体視力)

投手の投げたボールは、バッターに近づくにつれて、バッターの目からは上下や横方向の動きが大きくなって見えるようになります。

そしてバッターの横を通り過ぎるときには、最も早く横方向にボールが移動して見えることになります。

 

動体視力を鍛える方法としては

・電車や自動車に乗っているときに車窓を眺めて、目の前を通り過ぎる物体を捉える

・投手が投球練習をしているところでバッターボックスに立たせてもらい、投手が投げるボールを目で追う練習

・キャッチボールしている時のボールをしっかり目で追う、あるいは軟式球を壁にあてて戻ってくるボールをしっかり目で追う

などなど

いろいろ調べて見ましたが、動体視力そのものを鍛えるためには、動いている物を目で見るという練習しか無いように思います。

 

電車の窓の風景を見て動体視力を鍛えている野球選手

 

結局フリーバッティングなど、実際に投手の投げたボールを打つのが1番手っ取り早いのかもしれません。

電車や車からの車窓の動きは時速数十キロ~百キロ程度ですので、少し動きが遅いかもしれません。

 

となれば、新幹線に乗ってトレーニングをすれば良いのでしょうが、しょっちゅう新幹線に乗る訳にもいかないですね。

また、パソコンやゲーム機などでよくある動体視力トレーニングアプリやゲームなどは、小さな平面の画面上で文字や数字を読み取るものですから、眼球の動きや水晶体の動きをいびつなものにしてしまって逆効果になる可能性があり、私としてはオススメしません。

 

3.周辺視野

視線の中心以外の画面を把握する能力です。

バッティングで言えば、目でボールを追いながら、投げた後の投手の姿や、ホームベースなどを視野の端で捉える能力です。

 

・ダブルボールリフト

スポーツ選手が良くやるトレーニング方法で、お手玉を両手に持ち、腰のあたりから同時に上に放り上げキャッチするトレーニングです。

慣れないうちは、身体の前で放り上げますが、慣れてきたら次第に身体の両サイドの離れた位置(視界に入る範囲)で放り上げてキャッチするトレーニングです。

ダブルボールリフトのトレーニング方法

 

・ハンドボールやバスケットボール

私の場合学生の頃、雪国に住んでいましたので、冬場のトレーニングの一環として、積雪で外でトレーニングが出来ない時に体育館で、瞬発力や運動神経を鍛える一環としてハンドボールやバスケットボールを良く行いました。

これらの競技になれてボールのハンドリングに余裕が出てくると、ボールや目の前だけでなくプレーしながらも周囲の選手の様子がよく見えるようになったのを覚えています。

野球選手の場合はどちらかというとボールに集中する傾向が強く周辺視野はあまり発達していないように思いますのでたまには他の競技を行うのも視力を鍛える面では有効だと思います。

周辺視野の広いバスケットボールの選手

眼球や水晶体の動き

頭や目を対象物に向けたり、目の水晶体を膨らませたり伸ばしたりして視線や焦点を対象物に合わせる身体の物理的な動きです。

歳をとれば誰でも目の動きが悪くなって、なかなかものの動きに目が追従しなかったり、焦点が合わなかったりします。

物理的に目の動きや焦点がボールに追いつかなければ、いくら目が良くても、ボールをしっかり目で捉えることは出来ません。

 

トレーニング方法としては、良くあるのは適当に2ポイントを決め、2点を交互に見て焦点を合わせるトレーニングです。

一つのポイントを3秒程度凝視し、次に素早く別のポイントに視線を移動しそのポイントを凝視します。

これを20~30回程繰り返します。

 

これをもう少し野球のバッティングに特化したやり方としては

塀や壁の前に立ち、20m程向こうから手前に向けて一直線に視線を動かします。

ちょうど投手の投げた投球を目で追うように壁の上の一直線上で視線を動かすようにします。

 

もし問題が無いようであれば、壁に直接線を書いたり、途中に5箇所ほど印を付けて、視線が移動しやすいようにします。

注:勝手に他人の家の壁などに印を付けないようにしましょう(^^;)

壁に沿って視線を動かし動体視力を鍛える方法

5.コントラスト感度

周りの風景の中でボールがくっきり見えるかどうかです。

白っぽい色のグランドで、コントラスト感度が悪いとカメレオンが森の緑の葉っぱの中に隠れて見えないように、ボールがかすんで見えてしまいます。

 

一般的には加齢に伴ってコントラスト感度は低下すると言われています。

コントラスト感度を高めるトレーニング

・光彩筋を鍛えるトレーニング

光彩筋を鍛える為の画像

光彩筋を鍛える為の画像を見た後の残像
上の画像を見た後の残像のイメージ

 

残像イメージを残す。

形は何でも良いので上の図のような白黒の画像を用意します。

画像をプリントアウトして、柄の中心付近を約20秒じっと絵を覚えるつもりで見つめます。

その後目を閉じると、まぶたにうっすらと下の図のような残像が浮かび上がると思いますので、なるべくその残像をまぶたの裏に保持するようにします。

このトレーニングを数回行います。

光彩筋を鍛える為の画像を見ている人

光彩筋を鍛える為の画像を見た後の残像

 

 

・明暗を感じるトレーニング

明暗を感じるトレーニングをしている人

天気の良い屋外で行うか、室内で電気スタンドなどを利用して行っても良いです。

天気の良い屋外で行う場合は、目を閉じて空に目を向けます。
(直接太陽を見ないようにしましょう)

 

約10秒まぶたを閉じたまま明るい光を感じたならば

次に、目を閉じたままで、手でもノート等でも良いですから、目を覆って光をさえぎります。

 

明暗を感じるトレーニングをした後ノートで光をさえぎっている人

これを2、3回繰り返します。

室内で行う場合は、電気スタンドなどを光源にして行います。

閉じた目を手で覆おう代わりに電気スタンドをオンオフしても良いです。

 

・コントラスト表を見るトレーニング

対照的な色を組み合わせた円が6つあります。

コントラスト感度を鍛える為のコントラスト表

それぞれの円を5秒ずつ順に見ていきます。

これを2~3セット行います。

コントラスト感度はなかなか客観的な数値で把握できないので、トレーニングの効果がどれほど上がっているかを判定するのは難しいでしょうが、ボールがハッキリ見えるようになればそれだけ、この後に説明する瞬間視力にも好影響を与える事になります。

 

因みに暗順応の向上にビタミンAが、コントラスト感度向上にルテインが効果があると言われています。

 

6.深視力、立体視力

ボールの遠近や、空間を立体的に見る能力です。

特に、最近の子供さんはゲームやテレビの影響で、立体視が苦手な場合があり、平面的に物を見る癖が付いているとバッティングにおいて、投手の投げたボールの位置を正確に把握したり、ボールの変化に追従することが困難になります。

 

まずは、左右の目の視力を正確に測定してみましょう。

乱視や、近視、遠視などが片方の目だけに入っている場合など、左右の視力に差がある場合、両目から入ってくる視覚情報を上手く、立体的に組み立てることが難しかったり、その結果、視力の良い片目だけでボールを見ている場合があります。

 

ボールを両方の目で見ていても、片方の目からの視覚情報をメインに脳の中で処理していれば、ボールと周辺の風景を平面的に見ていることになり、3次元空間を飛んでくる野球のボールを正確にバットで捉えることが出来なくなります。

メガネなどが必要な場合には、左右の目の視力にあったメガネを作ります。

 

深視力、立体視力を鍛える方法としては

ジオラマの画像

・立体的に物を見るように習慣づける

最近はどうしてもテレビや映画の影響もあって、目に映る画面を平面として脳の中で処理していることが多くなっているように感じます。

もちろん子供の頃から広いグランドでスポーツをやっている人であれば、そうでない場合もあるかもしれません

 

立体的に物を見るためには、平面ではなく、あらゆるものの奥行きを感じながら見るようにします。

前から歩いてくる人も、顔や服装だけでなく、立体的な物体であることを意識して見るようにします。

遠くに見えるビルや山並みも、映画の画面のように見るのでは無くジオラマの中にある立体的な建物や地形のように

何といいますか鳥の目で見るようなイメージで見るようにします。

 

・道路で接近してくる車のナンバーを見るトレーニング

道路の端などに立って、近づいてくる車のナンバープレートなどをしっかり目で捉えるトレーニングです。

近づいてくる車のナンバーを読み取るトレーニング

 

・ヒモで吊したボールを目で追うトレーニング

ヒモに結びつけたボールを適当なところにぶら下げてゆらします。

そしてそのボールの動きを目で追うようにします。

ヒモで吊したボールを見るトレーニング

7.瞬間視力

瞬間視とは瞬間瞬間で、ものをしっかり目で捉える能力を言います。

瞬間的な画像

サッカーや、バスケットボールでは一瞬で自分の周りの敵味方の動きや位置などを瞬時に読み取る能力を重視しますが

野球の場合は、もう少し狭い範囲

バッテイングで言えば、投手の投げたボールを、いかにしっかり目で捉えるかということが重要になってきます。

 

バッターボックスから投手の投げたボールを見ているときに、ボール自体は見えていると思います(多分(^^;))

見えているというのは、目の網膜には映っているという意味です。

 

ところがその画像を、全て脳が処理しているかというとそうではありません。

脳が処理できる画像データの量には限界があり、場合によってはボールの航跡全体がなんとなく目に見えている状態(瞬間視がほとんど出来ていない状態)

逆に瞬間視の優れているバッターであれば、要所要所でしっかりボールを目で捉えていると思います。

なんとなくボールを見ている人の目の画像と瞬間視に優れた人の目の画像

 

野球の打率を上げるなら瞬間視を鍛えないと、トレーニング効果は上がらない

 

瞬間視を鍛えるトレーニングとしては

・動いている物をチラ見する

電車から見える車窓の電柱に書いてある文字、あるいは車の中から対向車の車のナンバーなど

じっと見るのでは無く、すれ違いざまにチラ見して数字や文字を読み取るトレーニングです。

瞬間的に集中して物を見ることで、目の集中力や短時間で目から入った情報を処理する能力を向上させます。

 

・ボールに書いてある数字を読み取る

ボールに書いてある数字を読み取るトレーニング

手伝ってくれる人がいるのであれば、ボールに0~9までの数字を記入して

慣れないうちは近くからアンダートスでボールをなるべく回転させずに投げてもらう

慣れてきたら少し遠くから、球に回転をかけて投げてもらう

そしてその数字を読み取るトレーニングです。

 

漠然とボールを目で追うのではなく、しっかりボール自体を目に焼き付けるトレーニングになります。

 

・動体視力トレーニングメガネを使ってトレーニングする

動体視力を鍛えるビジョナップというトレーニング用のメガネを使う方法もあります。

プロ野球や、甲子園常連校でも使われている動体視力トレーニング用のメガネですが

個人的には、瞬間視を鍛えるのに、最も適していると思います。

ビジョナップはこんな感じ

 

光学的にシャッターが降りて見えない瞬間があるのでストロボ写真を見るような感じになります。

ボールをストロボで見たイメージ

視界がさえぎられるので見えた瞬間の映像を集中して目で捉えようとするので、瞬間視の能力が鍛えられます。

動体視力トレーニングメガネ、ビジョナップの使い方を仕組みから解説

 

目と手の協応動作

目から入ってきた視覚情報に上手く合わせて身体を動かす能力です。

極端な話が、小さなお子さんが山なりに投げたバレーボールを、見えていてもタイミングがつかめず、空振りしてキャッチできないみたいな場面も見たことがあるかもしれません

 

協応動作のトレーニング方法

・トスバッティング

野球のバッティングにおいて協応動作のトレーニングといえばトスバッティングになります。

トスバッティングの目的はバットコントロールのトレーニングですが、目で見たボールの位置に正確にバットをスイングするという点で

視覚情報と、身体の動きをマッチングさせるためのトレーニングという事も出来ます。

 

まとめ

野球のバッティングにはスポーツビジョンの能力が直結します。

スポーツビジョンが良くなければ、バッティングが良くなるはずはありません。

スポーツビジョンの8つの要素をそれぞれ鍛えることで、スポーツビジョンが向上し、投手の投げたボールをしっかり目で捉えることで打率も向上します。

 

動体視力などというと、先天的なものを考えがちですが、トレーニングによって相当程度向上させることができ、それがひいては野球選手としてのパフォーマンスも向上させることになります。

 

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